学生時代。
貧乏学生にとって、ユースホステルを利用しての旅は、バス停留場で蚊に悩まされながら寝るよりは、すこぶる恵まれた宿泊環境であった。

2段や3段のベッドであろうが、多少不味かろうが、寝る場所と食べる物を提供してもらえるということは、旅行ブームでなかった昭和30~40年代には誠に重宝な場所であった。
そんなユースホステルで、夕食後に面白い(?)ケームが行われていた。

宿泊者を集めて、言葉の伝送を行うのだ。

  1. 10人程度を1グループにして数グループを作り、各グループ毎に(少し離れるようにして)1列に並ぶ。。
  2. ケームのリーダー(大概は、ユースホステルの経営者)が決めた「とある言葉」を各グループ毎に、前の者から後ろの者に耳打ち話で伝える。
  3. 最後の者が伝え聞いた「とある言葉」を発表し、誤りがなければメデタシということになる。
    しかし、ほとんどの場合は誤って伝達される為、参加者全員で大笑いする。

というゲームで知らない者通しの親交を深める他愛もないことだ。

「とある言葉」 は、簡単な内容であり、単語の羅列に近いものである。
たとえば 「大雪の夜、熊さんが太郎さんの家に遊びに来て、料理を御馳走になりました」 という程度の内容である。
これが伝達を繰り返しているうちに、忘れたり・装飾されたりという個人技が発揮され最後の言葉として 「熊が太郎を食べた」 となってしまうのだ。

実社会でも同様に伝わらない言葉が多い。

内閣総理大臣が 「被災地を全力で救う」 と発言したところで、

  • 政府内部での認識
  • 行政機関(中央官庁・地方事務所・地方自治体) での認識
  • マスコミが報道する内容
  • (いわゆる) 国民の期待感・受け取り方

皆が違う認識を持っている。

これは、発言の内容が具体的で無いことや、聞く立場の者が自分に都合の良い言葉しか聞いていない、こと等があるだろう。


ユースホステルというものも、現在では利用者が激減しているようだ。
こんなゲームができる程の人数が宿泊するようなことは無いであろう。

核家族で温泉三昧も良いが、たまには見知らぬ人達と肌を触れ合うような旅もしてみようかと思うこの頃である。