紅葉が真っ盛りのこの時期、仕事人時代には飲み仲間で 熱海や箱根の温泉に1泊で遊びに行った。
そのエリアの宿では宿泊のプレミアを付けて勧誘していたので、都内で飲んだくれて 挙句の果てに1泊するよりも安かった。 別に、観光が目的では無く、ただひたすらに飲みに行く旅である。
邪魔親父を追い出す家族の側としても、行き先がハッキリしており、飲んだくれて深夜に帰宅されるよりは楽だったのか(?) 、歓迎ムードであった。

プレミア宿泊とは言うものの、思いつきの自由参加制で金曜の夕方から出かける為、宿も混雑していない。
幹事を務める者は午後から休暇を取り、東京駅の地下デパートでツマミや酒を買い込んでバカ者達を待ち受ける。
夕方にバカ者達と合流して、東海道線普通車のグリーン席に陣取り1時間近くの宴会となる。
宿に入る頃には、すっかりできあがったバカ者軍団となる始末だ。

翌朝は、少ない朝食のオカズをツマミにして 朝から宴会である。
チェックアウトの時間迄、部屋係の女性を相手に飲んでいるのだから、宿側も迷惑な客だったろう。
宿を追い出されると、土産を買うと称して温泉街を冷かし、まだ開いていない店を開けてもらい、朝の二次会ということになる。 電車に乗りこむなり爆睡するということだ。

そんなブレミア温泉旅行は、飲み代 + 交通費 + 宿泊費 = 1万円以内 というのがメンバーの鉄則であった。

ある時のブレミア温泉旅行には、「素敵な音楽付き」 というキャッチフレーズであった。
何やら理解できないままに、申し込んでみたとのことだ。
芸者を呼ぶということは一切無しで、バカ者達がひたすら会話を楽しみ、興が乗れば無料のカラオケで歌うだけの旅行だったから、偶には 「素敵な音楽付き」 も悪くは無いか(?) という軽いノリである。

「素敵な音楽付き」 とは、流しのアコーディオン弾きのオッチャンが行う一人芸である事を知った時には遅かった。
やかましいアコーディオンを弾きながらダミ声で歌うオッチャンは、曲に合わせて衣装替えまで行って頑張る。
バカ者達の好みには、およそ合う嗜好ではなかった。
ブレミア温泉旅行の代金には、5曲含まれてると言ってオッチャンは頑張る。致し方なく、まっとうな観客を務めた。

3曲が終わり オッチャンが衣装替えに引っ込んだスキに、「この調子で5曲も流されたのでは堪らないので、早く帰ってもらおう」 ということで話がまとまり、チップをやれば当日の稼ぎが揚がり 帰るであろう..ということになった。
4曲目が終わり チップをやったら、「10曲までサービスします」 と仰せになるのを帰らせるのに難儀したっけ。

箱根の山も綺麗に紅葉しているのだろうな~