高齢と見える母親が娘と旅行するという設定での生命保険のテレビCMに云わく、「少しくらい残したい」とのこと。
誰に「少しくらい残したい」のだろうか。CMで見せる「少しくらい」とは2百万円程度のようだ。70歳くらいに見受ける母親が2百万円程度を娘に残す為に生命保険に加入しなければならないなら、悲しい人生だったと言うべきだろう。

母親の命と引換えとなる2百万円を受け取る一般的には既に世帯を持ち子供がいるだろう年代の娘は、それを何に使うのだろうか。母親は、何に使って欲しいのだろうか。葬儀代なのだろうか。墓地などを整えるためなのだろうか。
母親が存命中に娘が使うことになった介護代金や医療費の穴埋めにするのだろうか。
まあ、他人様が使う金の詮索をしてもしょうがないが、俺が思いつく程度の使い道ならば何も高齢になってから生命保険に加入しなくとも、親でも子でもどうにかするように人生の生活設計を立てているのではないだろうか。

ところが世の中はそんなに甘くはないようだ。
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テレビなどでは、『既に亡くなった父や母の死亡届を出さず、親に支払われる年金や恩給を自分の収入として生活している子供』の事が報じられる(子供と言えども、リッパな爺婆である)。 最近は、余程の事例でないと報じられなくなっているが、それは、件数が減ったのではなく、珍しいことではなくなったからなのだそうだ。

特養(特別養護老人ホーム)の入居基準」は居住する地域の地方自治体によって大きく異る。
また、特養に入居する為に、それまでの自分の人生感・価値感等を大きく変えなければならない人も多いだろう。
団塊世代の中には、人生の大部分を過ごした東京などの都会から地方に移住する人も少なくはない。その人達は、生活環境を変え、見知らぬ人たちの世話になりながら旅立ちを待つということになる。更に「少しくらい残したい」と考えなければ死後も儘に成らないということは悲しすぎると思う。ならば、人知れない地で野ざらしとなるも道也。

女優の大原麗子さんは2009年8月に享年62歳で旅立った。ギラン・バレー症候群を患っていた為か死後3日経ってから発見されたとのことだ。
大原麗子さんに寄り添った元マネージャーが孤独死の真相告白│NEWSポストセブン
彼女の衣裳部屋の壁には『孤独な鳥の、5つの条件』という詩が貼ってあったとのことだ。
孤独な鳥の条件は五つある
一つ 孤独な鳥は高く高く飛ぶ
二つ 孤独な鳥は仲間を求めない、同類さえ求めない
三つ 孤独な鳥は嘴を天空に向ける
四つ 孤独な鳥は決まった色をもたない
五つ 孤独な鳥はしずかに歌う
スペインの詩人、サン・ファン・デ・ラ・クルス(本名ファン・デ・イエぺス)『光と愛のことば』
大原麗子没後3年ドラマスペシャル 女優 麗子~炎のように:テレビ東京

『少し愛して、なが~く愛して』.....「少し愛して、少し残して」ってか~

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 話は戻るが前述の「少しくらい残したい」とされる約200万円も、あながちな金額らしい。以下の記事によれば『費用は200万円程で行える「がん免疫療法」の有効性について、医師の間でも意見が分かれるらしい。
大学病院でのがん免疫療法に医師の間でも議論噴出│NEWSポストセブン

5千万円の服用薬や1千万円の核シェルターが云々される中で、「がん免疫療法」に掛かる2百万円を高いと見るか(?)は意見の分かれることなのかもしれない。所詮この世は金次第ということだ。いずれ、あの世も金次第。