今年の梅雨時に、我が家にツバメが避難してきた。
日が暮れた頃バタバタと興奮した様子で庭から駆け込んだ女将から、ツバメの親子がいる事を聞かされた。
庭に出て覗いて見れば、よりによって窓のシャッターの上部に親子のツバメが5羽でうずくまっていた。
あんな狭くてツルツルした場所に避難しなくとも他に場所が無いわけではあるまい。
そもそも、我が家のような環境でなくとも、他に旧家風の軒先があるではないか...などとも思う。
シャッターの上部だから、カラスに悪さをされない場所では無い。雨風を防げる場所でも無い。何が気に入ってあんな場所に避難したのだろうか。
翌日、生き物大好きの女将は、屋根の有る洗濯干し場の物干し竿を外してツバメが止まれるように麻縄に交換。そんな事をしたところで、自然の生き物は好きな場所を選ぶだろうと冷めた目で見ている俺。
せっかく設けた麻縄の避難場所をツバメが使わない事について女将は色々と分析するのだが、要するに御好みではなかったようだ。

ツバメは10日間ばかり、夕方になるとシャッターの上部に避難していた。日が昇る頃にはどこかへ出かけるのだが、夕方になると律義に避難してきては5羽がまとまるようにして眠りに入っていた。
しかし、はじめは小さくてシャッターの上部の狭い場所でも十分な広さだったのが、日が経つにつれ狭くなってきたようだ。ある日からツバメは避難して来なくなった。植えられたばかりの田んぼの稲が育つにつれ、子ツバメ達の飛行訓練も進んでいたらしい。結局、麻縄の出番はこなかった。
ツバメが来なくなって既に日にちが経った。田んぼの稲も穂をつけてきた。
夕方に散歩すると、コウモリと一緒にツバメが晩飯の真っ最中だ。そんなツバメの中で電線に泊まって俺を見ている数羽がいる。あいつらは我が家のツバメだろうかしらん....などと思ったりもする。
既に8月、世の中は暑い。

ふっと、「王子さまとツバメ」の童話を思い出した。アイルランドの「幸福な王子」、有島武郎の「燕と王子」。どっちだろうか(?)と考えながら、両方を読むことにした雛な爺である。(追記:内容は同じだった)
WikiPedia:幸福な王子より抜粋引用 (アイルランドオスカー・ワイルドの小説)
町の中心部に高く聳え立つ自我を持った王子像が、あちこちを飛び回って様々な話をしてくれるツバメと共に、苦労や悲しみの中にある人々のために博愛の心で自分の持っている宝石や自分の体を覆っている金箔を分け与えていくという自己犠牲の物語。最後は、宝石もなくなり金箔の剥がれたみすぼらしい姿になった王子と、南に渡っていく時期を逃して寒さに凍え死んだツバメが残る。