ここは畑だった。
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我が家が野々市市に転居した3年前の夏には、腰の曲がったお婆ちゃんが手ぬぐいで頬被りして、トウモロコシやトマトを植えていた。
土地の言葉で大きな声で話すお婆ちゃんは、庭仕事の好きな女将が知り合いのいない当地に来て真っ先に御友達になってくれた。
以前、「雪害で孤立化した人々」で書いたドキュメンタリーのお婆ちゃんを彷彿とさせる人柄のひとだった。
昔は我が子を乗せていたのだろうか..キコキコと言わせながら古ぼけた乳母車を押し、朝には鍬を、夕には自分が食べる程度の収穫物を乗せて、毎日我が家の前を通ると庭仕事をしている女将に声を掛けてくださった。

あれから過ごした3年間に、毎年のように畑の規模を縮小され、畑に通うお婆ちゃんの姿を見ることは少なくなった。
今年の春になり、畑を耕す姿は見えなくなり、種撒きされることもなかった。
畑には夏草が生え放題になった。
何処のどちらに住まわれる人かは知らずにいる。 おそらく、同じ町内会なのだろう。
残暑の折、主無き畑を眺め、会いたくもあり..夕日を背にしてお婆ちゃんが乳母車を押して歩いて来そうな今日だ。