- ハアー忘れしゃんすなー 山中道を 東ゃ松山 西ゃ薬師
- ハアー送りましょうか送られましょうか せめて二天の橋までも
- ハアー山が高うて山中見えぬ 山中恋し山にくや
- ハアー谷にゃ水音峰には嵐 あいの山中湯のにおい
- ハアー薬師山から湯座屋を見れば 獅子が髪結うて身をやつす
- ハアー薬師山から清水を見れば 獅子が水汲むほどのよさ
- ハアー桂清水で手拭きひろた これも山中湯の流れ
- ハアー桂地蔵さんにわしゃ恥ずかしい 別れ涙の顔見せた
- ハアーお前見染めた去年の五月 五月菖蒲(しょうぶ)の湯の中で
- ハアー飛んで行きたやこおろぎの茶屋 恋のかけ橋二人連れ
- ハアー谷にゃ水音峰には嵐 あいの山中湯の匂い
- ハアー浴衣肩にかけ戸板にもたれ 足でろの字をかくわいな
- ハアー山が赤なる木の葉が落ちる やがて船頭衆がござるやら
- ハアー笠を忘れて二天の橋で 西が曇れば思い出す
- ハアー恋のしがらみかわいやおつる 泣いて別れた二天橋