バブルの時代には、夕刻に新宿の歌舞伎町の街角に立って「社長~~」と叫ぶと、歩行者の殆どが振り向いた。
夜のお仕事をする者達は、客の名前を忘れても「あら、社長」と呼んでおけば間違いなかった。
役職・肩書というものが現在ほど雑多に無かったからできた芸当だったのだろう。
とは言っても、当時からありふれた社長・専務・常務に限らず、会長やら先生といった肩書は多かった。

最近では、古くからの肩書に加えて、片仮名や英語の肩書が溢れており、誰がどんな地位か判らない。
係長や主査、課長・部長・部門長など等まで含めたら、仕事人をしていれば何らかの肩書が付いている。
【肩書 = 役員】とした場合は、日本では会社法による事になるだろう。
WikiPedia:役員より抜粋引用
役員とは、会社の業務執行や監督を行う幹部職員のことをいう。いわゆる経営者・上位管理職。
会社法に規定のある役員・役員等」や「会社法に規定のない内部的職制」での記述が凝縮されている内容だ。
簡単に言えば「代表取締役」or「取締役」が付くと付かないでは、「社長」と言えども天と地の差があるということだ。
同様に「会長」と呼ばれたところで、単なる年寄りという状態の者が多い。
飲み屋で擦れ違うだけの相手ならどうでも良いが、仕事の場合はしっかり名刺交換して、「平取社長」なのか、「代表取締役社長」なのか、を知った上で交渉をしなければとんでもないことになる。
日本の会社法における「役員」は、取締役・会計参与・監査役を指す(329条)。 なお、会社法で「役員等」(「等」が付く)という場合は、取締役・会計参与・監査役に加えて、執行役・会計監査人を含む(423条)。
役員は、経営者であり社員ではない。従い、社員から役員に昇格する際には、一旦、会社を退職する。
退職金のある会社では、退職金を受け取ることになる。即ち、社員としての身分は一切失われる。
巷の奥様で、夫が専務や常務であることで会社役員であるとして自慢する者がいる。そして、専務である夫が退職年齢に達したとして嘆いている。 その夫は "平の専務" 、すなわち社員であって役員では無い事を知らないのか

役員であれば、取締役会に出席し議決権を持っている。 しかし、会長・社長・副社長・専務・常務等の肩書で有ろうとも、役員以外は取締役会に出席することはできないし、議決権は無い。
また、一般的な会社では役員の退職に関する規定は無い。 本人が望み、取締役会が認めれば一生勤められる。
要するに、会社役員は、雇用(労働) 契約を結んだ労働者では無い為、定年退職は無い。 しかし、会社によっては役員専用の規定を設けて、役員の座を離れるべき年齢を定めている場合もある。

部長・課長・係長・主任等の肩書は、社員・業務を統括する為の職責(職名) である。
"専務" も "専務取締役" でなければ単なる職名であり、会社内での序列を定める為に用いられているに過ぎない。
例えは異なるが、軍隊で "大佐" の階級であっても、"隊長" の指揮権を与えられなければ、部隊を指揮できない。
八甲田山で陸軍の部隊が遭難した事件のように、階級だけは高くとも指揮権の無い者に横槍を入れられ、それを跳ね除けられない指揮官は自滅する場合が有り得るということだ。



アメリカの会社アメリカの会社法に定める肩書は、日本以上にややっこしい。
それでも、肩書に付帯する権限と責任があるのだから、仕事をする上では肩書を見ながらのことになる。

日本の仕事人社会では、仕事場を離れてからの会話でも相手を肩書で呼ぶ者が多い。
呼ぶ側としては氏名を忘れても差し障り無い為だろうが、平社員1人に対して、課長が3人ではややこしい
呼ばれる側も、なんだかんだ言いながら、内心では喜んでいるのだろうか
水戸黄門ではないが「このお方をどちらと心得る」、という心理の者も多いようだから...

それにしても、国会質疑の議員同士が互いに「先生」付けで喧嘩する姿勢は面白いね~
一方、ジャニーズ事務所に所属するタレント達は、先輩・年の差・人気度・収入などの枠を超えて、互いを「さん」付けで呼ぶ姿勢が美しいと思うのは俺だけだろうか。
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  • 会社によっては "対外呼称" を制度化しているようだ。社内人事では "係長" であるAを他社の者に紹介する際に、「弊社のA係長です」と言った後でAが差し出した名刺には "副支店長" とあった等はよくある話だ。
  • 担当部長・担当課長・担当主査といった "担当○○" の肩書も多くなった。 "担当○○" とは、特定の業務・担当に属さない者の職名を示す事が多い。 部下も無く、上司は組織の長である事が多い。言わば、遊撃隊だ。
    "名ばかり店長" と同様だ。 それを知らず、課長になったと張り切る姿は微笑ましいと言うべきだろうか。
  • 一般的な企業(会社) で "社員" と呼ぶ者を、公務員では "吏員(りいん)" と呼ぶ場合がある。
    吏員は地方公務員に対して用いられる (国家公務員は官吏と称される)。 しかし、地方自治法の改正により、殆どの地方公務員は "職員" と呼ばれることとなった。
    それでも、日本国憲法は、地方公務員を指す語として「吏員」(93条2項)を用いる。
  • 過日は、大塚家具での経営方針を巡る内部対立についてマスコミ報道があった。
    父親は会長 vs 娘は取締役社長という血族企業内の争い事は、如何にも日本人らしい構図と言える。
    徳川幕府として初代の征夷大将軍になった家康は、隠居して秀忠に将軍の地位を譲ったとはいうものの、隠居先から大御所として実権を握っていたと聞く。 天皇にしても院政が行われた時代は多い。
    しかし、現代においては実父で会長職と言えども取締役を退いた者は、只の人ということだろう。
  • 昔の話。 銀座のクラブで大勢の取り巻きに「会長」と奉られて大騒ぎしている爺Aに対して、その騒々しさに腹を立てた別の爺Bが「静かにしろ会長と言って威張るな俺は町内会長だ」と一喝したそうだ
    後日談で店の者に聞いたところ、爺Bは実は大企業の会長であったそうな。