30歳とやらで俳優が死んだ。自殺との報道もある。しかし、なぜ死んだのかは明かされていない。

世の中は30歳を若いと言う。また、惜しいとも。

古稀を過ぎた俺は思う。「30歳とは若いのだろうか」
確かに、30歳とは頂点なのかも知れない。しかし、頂点は人それぞれであろう。
頂点に至らない儘に老いる人もいる。10代で到達した頂点を死ぬ直前まで維持できる人もいる。
30歳以前は持っていたはずの才能が消え失せる人には、周囲から受ける惜しむ声は苦痛かも知れない。

古稀を過ぎた俺は思う。「俺の頂点はあったのだろうか」
人は、惜しまれるうちに此の世とやらを去りたいものだ。彼の世とやらも悪くはあるまい。
若いうちは美しい。そして才能も発揮できるだろう。何も無くても、若い事だけで賞賛される。

30歳とは若いのだろうか。
29歳の者は、30歳を若いとは思わないだろう。
美しい年代に自分の意思で死ぬ事も悪くはあるまい。
ボケて老いさらばえてもしがみ付いていたいほどの世界ではない。
健康を気遣いながら、社会の世話になりながら、生きながらえて、しなければならない目的も無い。

とはいうものの、自ら選ばなくとも隣で死に神が嘲笑っている。
白寿は、米寿での死を若死にと言うかも知れない。